人気ブログランキング | 話題のタグを見る


村落開発を目的に、ウガンダで活動する非営利団体 "Agriculture Innovations for Sutainable Development - Uganda / AISUD (アイサド) " によるブログです。 活動の近況や、ウガンダの情報を発信していきます。


by aisud-uganda

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

AISUD公式ウェブページ

随時更新中です↓
http://www.aisud-uganda.org

カテゴリ

全体
AISUD 活動
ウガンダ 日常
ウガンダ 社会
雑文
インターンの視点より

最新の記事

告知(1月1日・毎日新聞ほか)
at 2012-12-30 22:03
世界の人びとのためのJICA基金
at 2012-11-20 21:56
今日のキャリアウーワン
at 2012-07-27 01:50
カダフィー・モスクと市内の写真
at 2012-07-25 19:44
裏の副代表と金のテントウムシ
at 2012-04-09 17:45
ムゼーとボダボダ
at 2012-03-30 14:54
マイクロファイナンスの本分 ..
at 2012-03-27 22:23
マイクロファイナンスの本分 ..
at 2012-03-26 16:45
マイクロファイナンスの本分 ..
at 2012-03-23 16:15
入国審査
at 2012-03-22 21:33

以前の記事

2012年 12月
2012年 11月
2012年 07月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月

フォロー中のブログ

カンパラメモランダム

検索

主なサービス紹介
このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧

尿素・糖蜜ブロック作り その2

<前回のあらすじ:糖蜜ブロックが固まらなくて大変>

午後に迫った第一回目の糖蜜作り講習を前に、今更トピックを変更する訳にも行かず。取りあえず、出来得る限りの事はやってみようという事でスタッフ一同知恵を出し合います。

そもそも、コンクリートが固まる固まらない以前に前日作った糖蜜ブロック(かつてそう呼ばれたもの)が余りにも水っぽいのは確か。水は200gしか混ぜていないので、これは明らかに糖蜜のクオリティが問題なのでは無かろうかということで、まず糖蜜を何とかする事に。

練習用の糖蜜ブロック作りに使った糖蜜は、メラブ職員の近所のワラジ(ウガンダの伝統的な蒸留酒)屋さんから買って来た糖蜜を使用したのですが、ポリタンクに貯蔵されている間に糖分の濃い部分が底にたまってしまい、どうやら今回使ったのは密度の低い上澄み部分。つまりはドラえもんとドラミちゃんに使われたオイルの違い。アレです。

ということで、糖蜜の密度を上げる為、火でコトコト煮て水分を飛ばしてみます。

部屋中に蔓延する甘ったるいみたらし団子の様な匂い。その匂いに酔いそうになりつつも、30分程煮詰めると、糖蜜の量が鍋の中で初めの3分の2ぐらいにまで減りました。そこまで粘度が増した様には見えませんが、目に見えて水分は飛んだ様子なのでとりあえずは良しとします。

次に、ハンドブックにあった材料の分量を変えるわけにはいきませんから、それならば手順を少し弄ってみるのはどうだろう?という意見。

全ての材料を混ぜた後に米糠を混ぜるのでは無く、予め糖蜜と混ぜておいて糖蜜の水分を米糠に吸収させてしまうのはどうか?そうすることでコンクリに糖蜜の糖分が作用する事(?)もある程度は防げるのではないか。

つまり、米糠と糖蜜を混ぜた物。コンクリ、水、岩塩、尿素を混ぜたものを別々に作り、最後にそれらを混ぜ合わしてみてはどうだろう、と。

ここまで、アイデアが出た所でタイムアップ。副郡ミーティングの現場に向かわなければいけない時間と相成りました。


この日はブワマ副郡Bグループでの講習。

手短に今月分の融資の回収を済ませ糖蜜ブロック作りの講習を始めます。前回に引き続き、メンバー以外の農家さんも沢山参加してくれており静かなプレッシャーを感じつつ、メラブ職員がホワイトボードに糖蜜ブロック作りの材料や手順を説明していく横で、ブロック作り実演の準備を整えます。

座学のパートを終えいよいよ実演。実習大好きな農家さん達の興味津津な視線が手許に集まります。

今朝決めた段取り通り、メラブ職員には予め糖蜜と米糠を混ぜておいて貰い出来るだけ水分を糠に吸収させます。その横でセメント、岩塩、尿素を黙々と混ぜ。

それぞれ混ざりきった後、いよいよ糠と糖蜜をミックスしたものをセメント、岩塩、尿素を混ぜたものに投入。

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_16481466.jpg

おお・・・

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_16484494.jpg

おおぉ!

それまで自信満々を装い、しかつめらしい顔つきでやっていたのも台無し。どんどん重くなって行くスコップの手ごたえに思わず感動の声を上げてしまいます。最終的には、ご覧の通り混ぜ合わせた材料で山を作ってその上にスコップが刺さる程の固さに。

まだ型に詰めていないのに、既に完成気分の我々をよそに、ここに来て急にテンションが上がって来た農業の傍らレンガ作りも営んでいる農家さん。俺にもやらせろ、すぐに戻って来るからちょっと待ってろとメンバーの一人が乗って来た自転車に飛び乗ると、何処かに行ってしまいました。

待つ事数分。

戻って来たおじさんの手に握られていたのはレンガの型。どうやらブロックの材料を見て、急に職人魂が刺激された様子。後は彼の独壇場。

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_16491347.jpg

いそいそと持って来た型に糖蜜ブロックの材料を詰め・・・

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_16502974.jpg

材料を全て詰め終わると(型のサイズにまるで計ったかの様にピッタリでした)木の板で上から圧縮。「じゃあ、これを一晩乾かして・・・」という小生のアドバイスも虚しく・・・

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_1651118.jpg

自信満々に、コンッと型を下に敷いた板に叩きつけるおじさん。と、何と若干不格好ですが、見事にブロックらしい形になって出てきました。昨日の失敗が嘘の様です。

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_16513528.jpg

完成ー!ばんざーい!と快哉叫ぶ我々と他のメンバー。が、職人魂に火のついたおじさんは止まりません。「形がいびつなのが気に食わねえ・・・」

「どうせ牛に舐めさせて形は崩れるんだから」という小生の言葉も届かず、引き続き黙々とスコップでブロックの成形に情熱を燃やすおじさん。周りの雑音は一切耳に届かない様子。

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_1652298.jpg

そして完成したのがこちら。見事に、誰が何と言おうとブロック。これ以上ないくらいにブロックです。

座学パートで計算してみた所、今回の糖蜜ブロックを100kg単位で作ればブロック一個当たりの材料費はUGX5,000ちょっと。現在ケニアから輸入された同じ様なブロックがUGX10,000以上で売られているそうなので、自分で育てている牛に与えるだけでなく、商売としても上手くやれば糖蜜ブロック作りはかなりの恩恵がありそうです。

いやはや。一時はどうなる事かと思いましたが、終わってみれば良い講習でした。

皆さん是非、今日習った知識を存分に活かし・・・

と、締めに入った我々を、先程のレンガ職人のオジサンが遮ります。「そこの出来損ないのブロックはどうするんだ?」

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_1652293.jpg
出来そこないブロック

「失敗例として次のミーティングに持って行こうかなと思ってるんだけど」

「そんな勿体ない。俺に何とかやらせてみろ」

別に捨てようという訳では無いのですが。膝を突き合わせて、ああでもない、こうでもないとアイデアを出し合う参加者達。程無くして意見がまとまった様子。

「要は固まれば良いんだろ?」

庭をミーティング場所に提供してくれているナムソケさんが何処かに消えたかと思うと、すぐ縦半分に切られたポリタンクと、鍬を担いで戻って来られました。何をするのだろうと見ていると、庭の隅にある蟻塚(住蟻は引っ越し済み)をおもむろに鍬で掘り崩し始め、

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_1652552.jpg

蟻塚の土をポリタンクに移すと、同じ鍬で土塊を細かく砕き、

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_16534119.jpg

サラサラにきめ細かくなった蟻塚の土を「出来そこないブロック」に混ぜ、

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_165449.jpg

それをレンガ職人のおじさんが混ぜ、ビニール袋を敷いた型に投入、

尿素・糖蜜ブロック作り その2_d0156945_16543342.jpg

すると、見事にブロックに・・・とは行かないまでも、何とか自立するまでには形になっています。しかも蟻塚の土を混ぜた分、量が少し増えブロック2個に。一晩も乾かせば、ビニールを剥いで牛に与える事が出来る固さになりそうです。


レヴィ・ストロースが野性の思考で述べた所のブリコラージュ(多分。通して読んだ(読めた)事が無いので自信はありません)の偉大な実例を目の当たりにし感動。

人に何かを伝えようとするに当たっては、教える側が裨益者に一方的に「与える」だけでなく、そこには常に此方も得る、学ぶチャンスがあり、相互に授与の関係が成立し、それは世の中のありとあらゆる人と人との繋がりにも言える事であり、人生我以外皆師也であり・・・うーん。言いたい事が上手くまとまりません。

要するに一方的に何かを与えてるだけでなく、ウチらだって彼等から得る物が沢山あるんだぜ!という様な・・・違うな。

無理をして難しい事を言おうとするものでは無いですね。途端にボロが出ます。

農家さんにとっても、我々にとっても実り多い講習だったのではないでせうか、と自画自賛。


代表
by aisud-uganda | 2010-11-11 16:45 | AISUD 活動